8月20日のワークショップでは、
米国ショートコースに対する若年層ゴルファーのイメージをテーマに、
参加者の皆さまと議論を行うことで、多様な体験や価値観を整理しながら、
日本におけるショートコースのあり方について学ぶ貴重な機会となりました。
21世紀のグローバル化により、国境や時間・空間の制約はほとんどなくなり、情報は瞬時に世界中で共有される時代となりました。この急速な変化は、ビジネスや生活だけでなく、スポーツやレジャーの世界にも大きな影響を与えています。ゴルフ業界も例外ではありません。私たちは今、VUCA(不確実・不安定・複雑・曖昧)と呼ばれる時代を生き抜くため、変わらない価値観と柔軟な対応力を同時に備えることが求められています。
その中で注目されるのが、米国NGFによる「ショートコース(Par-3やExecutiveコース)」の調査結果です。18〜34歳の若年層ゴルファーの多くは、ショートコースを「本物のゴルフの縮小版」と認識しており、約3分の1は「本物より劣る」と感じています。一方で、約3分の2は「カジュアルで楽しい場所」と評価しており、この二面性が新たな戦略のヒントとなります。
従来、ショートコースは競技志向のプレーヤー向けに、設計や難易度で差別化を図ってきました。しかし、価値観が多様化した現代では、「本格性」へのこだわりがかえって「劣る」という印象を強めることがあります。むしろ、ショートコースだからこそ提供できる自由さ・気軽さ・コミュニティ性を前面に出すことで、次世代ゴルファーを惹きつける可能性が高まります。
また、デジタル発信力の不足も課題です。調査によると、Instagramなど若年層に人気のSNSを活用している施設は半数程度にとどまり、投稿の内容も平均評価は低めでした。現代の消費者は「施設そのものの文化や体験」に惹かれて来場を決めるため、オンラインでの情報発信やコミュニティづくりは不可欠です。
結論として、変化の激しい時代にゴルフ業界が生き残るためには、ショートコースを「本物の縮小版」という枠にとらわれず、独自の体験型コミュニティとして再定義することが重要です。“劣る条件”を短所ではなく個性として活かし、人と人が自然に交流できる場にする。そのためには、揺るがない経営理念と柔軟な発想に加え、デジタル空間を活用した新しい顧客体験の創出が求められます。こうした取り組こそが、変化の時代をしなやかに生き抜く力につながるのです。
NGF FAR EAST
代 表 宮 田 万 起 子