ゴルフの価値はどこにあるのか

 

米国 NGF が発表した最新レポートでは、

近年話題となっているゴルフのプレー料金について、

冷静な視点が示されています。

2019年から2025年にかけて、

米国の18ホールのプレー料金は約29%上昇しましたが、

同期間のインフレ率も約27%であり、

ゴルフだけが特別に高騰しているわけではないことを伝えています。

 

さらに、他の娯楽と比較すれば、

映画チケットは約75%、NFL 観戦は約50%と、

より大きく上昇しており、

ゴルフだけが高いという印象は必ずしも実態を表していないことがわかります。

 

また、多くのゴルファーが日常的に利用している地域のゴルフ場においても、

公共コースの平均料金はインフレと同水準の上昇にとどまり、

ゴルフは依然として日常の中にあるスポーツであり続けています。

つまり、ゴルフの価格に対する印象は、

「どこでプレーするか」という選択によって

大きく左右されているとも言えるのです。 

 

そこで、私たちが向き合うべきなのは、

「ゴルフは高いのか」ではなく、

「ゴルフの価値はどこにあるのか」という問いです。

 

価格は確かに重要です。

しかし、その議論だけでゴルフを語ってしまうと、

本来このスポーツが持っている意味を見失ってしまいます。 

 

NGF はこれまで一貫して、

ゴルフを単なるレジャーや消費ではなく、

「生涯スポーツ」として、そして「人格形成の場」として捉えてきました。

ゴルフは技術の習得にとどまらず、

誠実さ、忍耐、自己管理、他者への配慮といった

人間的資質を育む場であり、

生涯にわたって学び続けることのできる文化でもあります。 

 

この視点に立ったとき、ゴルフ場の役割は大きく変わります。

特に、リゾートや一部の人気コースではなく、

地域に根ざしたゴルフ場にこそ、その可能性は広がっています。

 

価格で選ばれる場所であり続けるのか。

それとも、人が育つ場として選ばれる存在になるのか。 

 

もし後者を選ぶのであれば、

薄利多売という構造から一歩踏み出し、

「何を提供するゴルフ場なのか」

という価値の定義を明確にする必要があります。

これは単なる理想ではなく、

これからの経営における重要な選択でもあります。 

 

例えば、プレーを通じて自己管理を学ぶプログラム、

ルールやマナーの意味を伝える教育機会、

世代を超えた交流を生むコミュニティ設計。

こうした取り組みは、一見すると収益に直結しないように見えますが、

顧客の定着、信頼の醸成、

そして長期的なブランド価値の形成へとつながっていきます。

  

すなわち、

これからのゴルフ場経営は、

「価格で集客する段階」から「価値で選ばれる段階」へと

移行していく必要があります。 

 

米国におけるゴルフ市場の安定は、

単なる価格のバランスではなく、

このような文化的成熟と価値提供の積み重ねによって支えられています。

  

これからの日本においても、同じ問いが投げかけられています。

私たちは、次の世代にどのようなゴルフを残していくのか。

  

NGF はこれからも、

ゴルフを通じた人格形成と生涯教育の価値を軸に、

意味のあるゴルフのあり方を提案し続けてまいります。

そして、志を同じくするゴルフ場とともに、

ゴルフの本質的価値を社会に広げていくことを願っています。

 

 

 

NGF FAR EAST

代表  宮田万起子