ゴルフブームに翳り(米国ゴルフ中間統計)

 

 US-NGFの報告によれば、コロナ禍後のゴルフ市場の成長に歩留まりが生じている統計数値が出てています。かかる統計数値を踏まえれば、今後は、コロナ禍後に増加したニューゴルファーに、継続的にプレーしてもらうためのサービスの追究が求められます。

 三つの側面から統計が取られており、今後のゴルフ界の動向を視野に入れて将来を見据えたいと思います。

①ゴルフ場閉鎖の傾向

2020年頃からゴルフコースの閉鎖が始まり3年目の現在も、ゴルフコース数の減少が続いています。

今年の6月末時点でのゴルフ場(18ホール)閉鎖は50コース弱とされており、年末には95コースが閉鎖されると予測されています。もしこの予測が現実化すれば、全米のゴルフ場(18ホール)の約1%が閉鎖することになります。 

閉鎖されたゴルフ場の約4%はすでに住宅地や商業地として開発されています。特に、1990年台に建設ラッシュで作られたゴルフ場は老朽化し、ゴルフ場のオーナーは、ゴルフ場を閉鎖し売却することで、老後の資金に当てようとするケースもあるようです。

 

②ゴルフ用品の販売

用品メーカーから毎月販売報告がNGFにされるようになってからすでに50年以上が経過しています。

6月までのドル建てによる出荷量は、ゴルフクラブ10.2%増、ボール12.1%増と、パンデミック前よりも18%上回った結果となっています。2019年と比較すると売上高は49%増という驚きの売り上げとなっています。これらの数字には驚かされますが、実際は米国でのインフレによる影響が大きいことも考慮しておくべきでしょう。

 

③ゴルフラウンド数

2000〜2020年までの20年間では平均して±2%のラウンド数の変動が通常でしたが、2021〜2022年の2年間はプラス20%増という驚きの増加となりました。それに対し、今年の6月のラウンド数は2.7%の増加に留まりました。

天候の悪影響によるプレー可能な時間数が9%も減少している点は考慮すべき一つの材料ではありますが、過去数年の急増加と比べれば、コロナ禍の影響によるラウンド数にもそろそろ翳りが見え始め、通常通りに戻りつつある傾向にあると考えるべきのようです。

 

 ただ上記の結果に落胆するのではなく、ゴルフボールの売り上げが現在も好調な点を考慮すれば、ニューゴルファーが現在もプレーしていることが窺えます。20%増に含まれたニューゴルファーの中には、ゴルフの楽しさに目覚め、ゴルファーとしてリピートしている人がいるということです。

 

 コロナ禍によるゴルファー増加は思いがけない好景気につながった一方で、日本も時間の問題で米国と同じ状況が訪れると考えられます。今までゴルフをする機会がなかった人が、コロナ禍によりゴルフ体験をしたことで、「ゴルフの楽しさを知る機会を得る」という大きなハードルを乗り越えました。次に訪れるハードルとして、「きっかけを失うと継続することが難しい」こともゴルフの持つ特徴の一つといえます。

 ゴルファーとして継続的にプレーが定着する仕組み、クラブ販売時にレッスンなどを行ったり、ゴルフをする機会を失わないようにする工夫が繰り返し必要と考えます。また、従来のゴルフ場の在り方から脱却することで、時代にあったゴルフ場の在り方が見えて来ます。

 NGFゴルフ経営原論「サービスコントロール」では、時代と共にサービスの在り方を変えることの重要性について触れています。サービスとは、供給側が必要と考えるサービスではなく、需要側が満足するサービスを研究し想像していくこととあります。ゴルフ場特有のサービスとはどのようなものか、どのようなスタイルがあるのか、何を優先したビジネス転換が求められているのか。ゴルフの本質から外れることのないよう、ゴルフ特有のサービスについて知識を持っておくことで、高いクオリティーサービスにつながる参考にして欲しいと思います。

ゴルフ経営原論 第二部 ビジネスマネジメント 第三章 タスクマネジメント 2サービスコントロール

https://www.ngf-fe.co.jp/member/g/software/text/GB/GB_2_3-2.html

 

NGF Far East

代表 宮田 万起子