米国NGF(National Golf Foundation)が発表したレポートによると
アメリカのゴルフ旅行市場は過去最高水準の成長を続けています。
2022年から2025年までの4年間
毎年1,200万人を超える人々がゴルフを目的として旅行に出かけており
これはコロナ禍前と比較して49%増加した数字です。
また、ゴルフ旅行は米国ゴルフ経済の中で
ゴルフ場運営に次ぐ第2位の市場規模を持ち
宿泊・交通・飲食などの観光関連支出だけで年間300億ドル以上
さらにプレー料金や用品購入などを含めると
約400億ドル規模の経済効果を生み出しています。
さらに注目すべきは
ゴルフ旅行の需要増加に伴い
リゾート型ゴルフ施設の開発も活発になっていることです。
過去5年間に新設されたゴルフコースの約3分の1がリゾートと連携した施設であり
ゴルフが単なるスポーツではなく
旅行や体験産業の一部として発展していることがわかります。
この背景には、パンデミックによるロックダウンを
経験した人々の価値観の変化があるように感じます。
移動が制限された期間を経て
多くの人が「モノを所有すること」よりも
「体験にお金を使うこと」を重視するようになりました。
また、近年の経済回復や働き方の変化も後押しし
旅行そのものが人生を豊かにする重要な活動として見直されています。
そして現在は、「観光旅行のついでにゴルフをする」のではなく
「ゴルフを目的に旅行し、その中で観光や食事、文化を楽しむ」
というスタイルが主流になるのではないかと思います。
私自身も、これまでハワイ、シドニー、ジブラルタルなどで
ゴルフを楽しむ機会がありましたが
印象に残っているのは、その土地の景色
人々との交流、文化との出会いです。
ゴルフは旅の目的でありながら
その地域を深く知るきっかけにもなっていました。
一方で、日本国内では物価上昇などの影響もあり
ゴルフ旅行のハードルは以前より高くなっています。
しかし視点を変えれば、日本には大きな可能性が残されています。
日本のゴルフ場には、大浴場があり、食事があり、四季折々の自然があります。
さらに温泉、地域の食文化、歴史や伝統文化など
世界のゴルファーにとって魅力的な要素が数多く存在します。
海外では「プレーしたら帰る」スタイルが一般的な地域も少なくありません。
その中で、日本のゴルフ場が持つ一日をゆったり過ごす文化は
むしろ大きな差別化要因になり得るのです。
インバウンド受け入れに対しては
「海外ゴルファーがコースを荒らす」「マナーが違う」といった声も聞かれます。
しかし、その多くは文化や国籍の問題ではなく
学ぶ機会がないことによるものではないでしょうか。
もし来場前にエチケットやコース保護の考え方を学べるプログラムや
日本のゴルフ文化を紹介するオリエンテーションを組み込んだゴルフツアーがあれば
多くの問題は未然に防げるはずです。
NGFが長年大切にしてきた「ゴルファーを育てる」という考え方は
これからの時代にますます重要になるように思います。
ゴルフ旅行市場の拡大は、単なる観光需要の増加ではありません。
ゴルフを通じて人と人、人と地域、人と文化を結びつける新しい価値創造の機会でもあります。
これからの日本のゴルフ場には、プレーする場所としてだけではなく
日本文化を体験し学ぶ場所としての役割も期待されているのではないでしょうか。
NGF FAR EAST
代表 宮田 万起子
【ワークショップのご報告】
6月のワークショップでは、上記をテーマに意見交換を行いました。
アメリカでは、ゴルフを目的とした旅行が過去最高水準に達しており、ゴルフ場は単なるプレーの場から、交流・体験・地域文化を楽しむ場へと変化しています。この流れは、今後の日本のインバウンド需要にも大きく関わるものとして共有されました。
参加者からは、すでに外国人ゴルファーが日本のゴルフ場を訪れている様子や、韓国・中国からの会員権購入の動き、沖縄や九州など地域における新たな可能性について報告がありました。また、日本のゴルフ場が持つ四季の美しさ、整備されたコース環境、安全性、温泉や食文化、おもてなしの精神は、海外ゴルファーにとって大きな魅力となり得ることも確認されました。
一方で、今後のゴルフ人口拡大には、初心者や家族、友人同士が気軽にゴルフ場を訪れられる環境づくりも重要であるという意見が出されました。パターゴルフ、ショートコース、グランピング、食事や交流を楽しめる施設など、ゴルフ場をより開かれた場にしていく可能性についても話し合われました。
今回の対話を通じて、ゴルフ旅行市場の拡大は単なる観光需要ではなく、ゴルフを通じて地域と人をつなぎ、新しい体験価値を生み出す機会であることが見えてきました。NGFとしても、健康、学び、誠実さ、人とのつながりを大切にしながら、未来のゴルファーを迎え育むゴルフ文化について、引き続き皆さまと考えていきたいと思います。
National Golf Foundation Far East