「熱心な」ゴルファーの今後は? アフターコロナを見据えた対応

「熱心な」ゴルファーの今後は? アフターコロナを見据えた対応

米国ゴルフ業界では、アフターコロナを見据えた取り組みについて意識を向け始めているようです。今回は、米国NGFから公表されている、米国コアゴルファーの昨年度の動向から、今年度はどのような傾向に移り変わるのかを調査し推測しているレポートをご紹介します。

2021年の米国経済において、昨年からの(コロナの影響を受けた)景気後退が続いている中で、ゴルフ界は比較的、好況な様子を呈しています。それでもなお、ワクチンが今後普及し平常化した後のゴルフ業界の動向について、予測が困難な要素は残っています。なぜなら、現在の好況の理由として、外出禁止令の恩恵を多分に受けていると考えられるからです。

2020年のラウンド数が増加したのは、年間8ラウンド以上プレーするゴルファー(「コアゴルファー」)によるプレーの増加によることが判明しています。統計によれば、コアゴルファー人口の約20%(「熱心なコアゴルファー」)が、旅行の自粛や在宅勤務など、パンデミックの影響を受けて、ゴルフをプレーする機会が増えたようです。また、ゴルフをプレーする機会の増えた、熱心なコアゴルファーの20%のうち、現役で仕事をしているゴルファーについては、5人中4人ものゴルファーがリモートワークに従事していました。これは、熱心なコアゴルファーは、ゴルフをプレーする機会が増えなかったコアゴルファーよりも、高い比率でリモートワークに従事していたことを意味しています。

もっとも、2021年度のゴルフ業界の景況を予測するため、コアゴルファーに2021年度のラウンド数を予想してもらったところ、熱心なコアゴルファーは、ラウンドが減少すると予想しました。すなわち、予防接種が広範に普及し、初夏までに生活が比較的正常に戻った場合と、コロナウイルスの状況が2021年を通して持続する場合の、いずれの場合であっても熱心なコアゴルファーは、10〜15%減少すると予想しています。

(そのため、2021年のゴルフ界の好況を維持する上で)重要なポイントは、コロナ禍から以前の正常な状態に戻った場合であっても、熱心なゴルファーの来場ばかりに頼らない対策が必要だということです。逆に言えば、今、ゴルフから遠のいているアンダーパフォーマー(活動が鈍っているゴルファー)をどれだけ掘り起こせるかが鍵となるでしょう。

 

日本のゴルフ界においても同じ傾向が続いていることから、私たちも今から準備をしておく必要性を感じます。それでは、アンダーパフォーマーの掘り起こしのためにゴルフプロフェッショナルにできることは、どのようなことでしょうか。コロナ禍を通して、個々の生活を強いられ、精神的に不安定な状態の人が増えたり、スポーツにも制限が及んでしまっている時代、改めてゴルフが、ストレスの発散であったり、生活に潤いや喜びを与えるものになることを再確認できるタイミングになるかも知れません。ゴルフが上達することを目的とするゴルフも一つですが、本来の自分自身を取り戻す機会にゴルフを利用することも考えられます。また、こうした機会を通じて、ゴルフプロフェッショナルによって、ゴルフの歴史的文化から伝えられる、ゴルフの素晴らしさもあるとも信じています。

NGFのゴルフ基礎原論の第一章フィロソフィー(https://www.ngf-fe.co.jp/software/text/GF/GF_1_1-0.html)では、ゴルフの伝統的精神理念とは、ジェントルマンシップを支える騎士道精神とキリスト教理念である、から始まっています。改めて、ゴルフの伝統的・歴史的文化から私たちの今後を見つめ直す機会になれば嬉しく思います。

 

ゴルフ基礎原論 – 第一部ゴルフゲーム – 第一章 フィロソフィー (https://www.ngf-fe.co.jp/software/text/GF/GF_1_1-0.html)

 

NGF FAR EAST 代表  宮田 万起子