― 米国 NGF が示す、「生涯ゴルファー」という発想 ―
米国 NGF が発表した最新レポートは
日本のゴルフ界にとって大きな示唆を与える内容でした。
近年、ゴルフ界では若年層の増加が話題となっています。
実際、米国では35歳未満のコースゴルファーが2019年と比べて20%増加し
ジュニアもコロナ禍以降で最も成長した世代となりました。
しかし、NGF が注目しているのは若者だけではありません。
1946年から1964年生まれのベビーブーマー世代が
現在も毎日約1万人ずつ65歳を迎えており
この流れは2030年頃まで続くと予測されています。
65歳以上の人々は時間的・経済的な余裕があり
プレー回数やゴルフ関連への支出も多いことから
ゴルフ産業を支える極めて重要な存在となっています。
興味深いのは、高齢ゴルファーが急増している一方で
若年層も同時に増えていることです。
その結果、ゴルファー全体の平均年齢はわずかながら若返っています。
つまり、米国では「若者かシニアか」という二者択一ではなく
人生の両端でゴルファーが増えている
という現象が起きているのです。
一方、日本は人口減少と少子高齢化が進み
「ゴルフ人口も減少する」と考えられがちです。
しかし、本当に人口だけが原因なのでしょうか。
私は、日本の課題は人口減少以上に
ゴルフと出会う機会の不足
にあると感じています。
子どもがゴルフに触れる機会、家族で楽しむ機会
学校や地域で体験する機会
気軽に始められる施設やイベントなど
多くの人が最初の一歩を踏み出す入口は、まだ十分とは言えません。
近年ではシミュレーターゴルフやインドア施設
公営ゴルフ場、ゴルフエンターテインメント施設など
新しい入口が少しずつ増えています。
しかし、それらを「生涯ゴルファーを育てる仕組み」として結び付ける発想は
まだ十分に浸透していないように思います。
NGF が示しているのは、「ゴルフ人口を増やす」という短期的な発想ではありません。
10歳で祖父母に連れられてゴルフを始め
20代では友人と楽しみ
40代では家族とラウンドし
60代では旅行を兼ねてプレーし
80代になっても
健康づくりと仲間との交流の場としてゴルフを続ける。
このように
人生を通してゴルフと関わり続ける「生涯ゴルファー」を育てること
こそが、本当のゴルフ文化の姿であると NGF では考えています。
日本では、高齢者を「減っていく市場」と捉えたり
若者だけに目を向けたりする議論が少なくありません。
しかし、これから必要なのは
どちらか一方を選ぶことではなく
それぞれの年代に応じた価値を提供し続けることではないでしょうか。
ゴルフは競技であると同時に
健康を支え、人とのつながりを育み
学びを深め、人生を豊かにする文化でもあります。
人口減少という現実を変えることはできません
しかし、ゴルフと出会う機会を増やし
一人でも多くの人が生涯にわたってゴルフを楽しめる環境をつくることは
私たちの努力によって実現できます。
これからの日本のゴルフ界に求められるのは
「何人がゴルフを始めたか」だけではなく
「何人が一生涯ゴルフを楽しみ続けられるか」という視点なのかもしれません。
生涯ゴルファーの育成こそ
私たち NGF が創設以来掲げてきた理念であり
これからの日本社会だからこそ
その価値はますます高まっていくでしょう。
NGF FAR EAST
代表 宮田万起子
National Golf Foundation Far East